対応のある2群の比較

検定の目的


同一個体から得られた2種類の観測値を比較検定することです。
2群の比較となっていますが、厳密には同一個体からの観測データを使っていますので「標本は1つ」です。
帰無仮説は群の背景因子(性別、齢、体重、正常か異常かなど)に差がないです。

データの構造


データは1つの群に対して、条件や時間を変えて繰り返して取得されたデータです。
例えば、Aさん、Bさん、Cさんの去年の身長と今年の身長などのデータです。

いくつかの注意点


条件や時間を変えて2回繰り返して取得というのは、項目を変えてよいということではありません。
例えば、Aさん、Bさん、Cさんの去年の「身長」と今年の「体重」のデータではありません。
必ず、身長ならば、繰り返して身長を測ったデータで揃えます。

また、左右の比較にも注意が必要です。
同一個体の右手の握力と左手の握力との差を調べるときは、後述の対応のないデータの比較になります。
この理由は、右手と左手は、全く別物であるからです。
対応のあるデータは背景因子が揃っていることが前提になりますから、個体の定義をより明確に捉える必要があります。
この間違いの例では、個体を「手」単位でみる必要があったところを「体全体」として見なしている点に問題があります。
修正すると、同一個体で、右手の握力(現在)と右手の握力(筋トレ3か月後)を比べる・同一個体で、左手の握力(現在)と左手の握力(筋トレ3か月後)を比べるという課題設定が適切です。

フローチャート


フローチャートは次のようになります。


実践


薬剤Aの安全性を評価するために、臨床検査値の1つであるクレアチニン値について、治療薬剤投与前後で差があるかどうか検定を行います。 


今回は統計解析の前処理としてデータの標準化を行っています。
一般に、標準化を行ったほうが、標準正規分布上での振る舞いを仮定できるため、より堅牢な解析になると考えられます。しかし、必須ではありません。

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